「愛」というものを解釈することは非常に難しいことです。

それは皆様一人一人がそれぞれの愛をお持ちになっておられるからでございます。

皆様のその「愛」は大切になさって戴きたいと思います。

それは素晴らしいことであり、

そこから輝かしい未来が開けてくる可能性があるのですから。

[愛の種類]

さて、本当に人間らしい愛とはいったいどのようなものなのでしょうか?

ここでは3種類の愛の形とその例を挙げて参りたいと思います。

皆様はどの愛がお好きでしょうか?

どの愛を人間らしいものとお考えになられますでしょうか?

1.神の愛(アガペー・大脳皮質の愛)

お相手の幸せのみを願う奉仕の愛でございます。

お相手にとって正しいものを与えるもので厳しくもあり優しくもあります。

2.本能の愛(哺乳類の愛)

自然に湧き起こる恋愛感情・親しみなどがこれに当たります。

相思相愛になりたい、この人と家庭を持ちたい、子を設けたいなどの感情が生じます。

3.欲を伴う愛(爬虫類の愛)

自分のものにしたいなどといった恋愛感情です。

お相手を束縛する。自由を認めない。強制する。管理する。

さらにはいじめ・虐待に発展することもございます。

人間は多かれ少なかれこれら全ての愛を持っております。

神の愛が多い人もいれば、欲を伴う愛が多い人もおられます。

爬虫類は良い遺伝子を残すためにパートナーの奪い合いが必要でした。

この闘争本能が人間の脳に欲として残っております。

哺乳類は遺伝子的に優位(背が高い、能力がある、美しい)な相手を見極め

子孫を残すため こういった本能の愛を持っておりました。

そして人間には大脳皮質が与えられ、

神と等しく理性的で知性的な愛を持つことが可能でございます。

[親子間の愛1]

子を思う親の心、

それはアガペーの愛でなければなりません。

決して母性本能であってはいけないように思います。

母性本能には独占欲が伴います。

自分のものだという考えに基いております。

人間がまだ野生であった頃には母性本能は必要だったでしょう。

しかしながら人間には大脳が与えられたのです。

知恵があるのです。

子を思う親の心、

それは純粋に子のためにという 奉仕の心でなければいけないように思います。

父性本能も同様でございます。

厳しい門限を強制する。

アルバイトを禁止する。

娘の結婚に反対する。

過保護・放ったらかし。

日記を盗み見る。

外泊を禁止する。

御子様を思ってのことと思います。

ですが、欲は全く含まれておりませんでしょうか?

結婚式の披露宴で御父様はよくお泣きになられます。

寂しいことでございましょう。

ですがそれは欲から生じたものではないでしょうか?

[親子間の愛2]

放任主義という言葉がございます。

天皇家に嫁がれました紀子様も放任主義でお育ちになられた方でございます。

放任と申しますのは決してほったらかしにすることではありません。

日本語の意味がすっかり損なわれており辞書でさえそのようなことが書いてございます。

字の通り放って任せるという意味でございます。

任せるからには対等に接しなくてはなりません。

放任とはお子さんであっても対等に誠実に接し、

お叱りになられることも何かを強制なさることもなく、

お相手の意思を尊重し、必要であればアドバイスを与えるような接し方でございます。

このような環境でお育ちになられましたお子様はやはり何かに秀でているようでございます。

これは神の愛ではありませんでしょうか?

[男女間の愛]

男女間の愛は様々でございます。

互いに許し合える仲であれば、

合意のもとに欲の愛で束縛し合うことも幸せを得る一つの方法かも知れません。

失恋して、それでもお相手のことが忘れられない。

落ち込んだり、恋愛の感情が恨みや憎しみに変わってしまう。

それは神の愛でしょうか?本能の愛でしょうか?

そこには欲の心は存在しませんでしょうか?

思い出が美しすぎますとお相手の幸せを考える余裕がなくなり、

戻ってきて欲しいという欲が生じるようでございます。

[神様の愛]

神様はいつも私達人間に対して惜しみない愛を与えて下さっておられます。

例え裏切られても、恩を仇で返されても、

それでも根気強く愛を与え、恵みを与え、

幸せに導いて下さろうとしております。

そこには見返りを求める気持など微塵もございません。

そのような愛を私達一人一人が持つことができれば、

どんなに素晴らしい世界になるだろうか。

私はそう思っております。

[動物の愛]

以前、ペンギンの生活がテレビ放映されていたことがございました。

オスのペンギンは2ヶ月間なにも食べず、空腹に耐えながら卵を温め続けておりました。

メスのペンギンはその間、遥か遠くに魚を取りに出かけておりました。

子が産まれても迷子になることもございます。

別の動物の餌食になってしまうこともございます。

それでも不平不満も云わず、

厳しい試練に耐え、各々の役割をこなしておりました。

ペンギンでもこのような素晴らしい愛を持っているのです。

私達は見習うべきではないでしょうか?

[詩]

ひとりのひとを愛しました

この愛は何よりも強い

何故なら自分より相手を優先する

何故なら愛は勇気を与えてくれる

何故なら死をも恐れないでいられる

愛は全ての良いものを与えたいという感情

愛はもっと好きになりたいという方向性

だから 未来へと向って伸びて行く大木のようだ

広大な海へ流れ込む大河のようだ

この愛は永遠に失せることはない