ひしゃくの水

 

ところで、こんなお話を小学校の時に教わった記憶がございます。

 

ひしゃくにね、一杯の水があった。

その水を誰かに届けなくてはいけないのです。

ところがね、道中に水を欲しがる人が現れた。

 

水を分けて差し上げたのですね。

一口だけなら、と。

でものどの渇きを訴えて水を欲しがる人が、次から次に現れるのです。

 

まるで地獄絵図のようでございますね。

 

ところが皆に一口ずつ飲ませて差し上げておりますとね、

そのひしゃくからどんどん水が湧き出て来るようになったのです。

 

これはまるでキリスト様の奇跡そのものではありませんか。

自己保身を考えず慈悲の施しをしますと、

まさに神仏が奇跡を現して下さるのですね。

 

「これだけしかない」、と、「これだけある」

 

たとえひしゃくに一杯の水でも、

感謝する人はありがたいと考えますでしょう。

「これだけある」と。

そうして、その水を大切に、有意義に使いますでしょう。

 

逆に、不満を云う人は、

「これっぽっちか」ってね、怒り出すのですね。

 

「これだけしかない」、と、「これだけある」、の差は、

まさに神と悪魔の差にも匹敵するのですね。