子育てに悩む親とひとりぼっちの子供達

 

私は「子育て」という言葉が嫌いです。

ここに1人の女の子がおりました。

彼女は小学生でございました。

人見知りの激しい、何も話せない女の子でございました。

 

父親は毎日、夜遅くに帰って来ました。

どこかで酒を飲み、酔いつぶれて帰ってきました。

家族全員の夕食の時間が始まります。

父親はそこでも酒の瓶を取り出し、グラスに注ぎます。

会話は一方的に父親の愚痴が続きます。

同じことを幾度も繰り返し喋り続けます。

「あの馬鹿が、」「けったくその悪い、」

そして子供にやつあたりして、さらには暴力を振うこともございました。

 

母親はそれでもその父親を愛し、信頼をしておりました。

自分の娘よりもです。

 

母親は激情家で娘に対しては非常に厳しくしておりました。

それが子育てだと本心で信じきっていたのでしょう。

娘が云うことを聞かなければそれが父親に伝えられました。

その夜は父親の折檻が始まります。

 

学校では友達がひとりもおりませんでした。

成績も悪く教師からもよく叱られていたようでございます。

「娘が、ひとことも口を利かなくなりました。」

こういって相談を受けたのはずっと前のことでございます。

多分、この女の子は産まれてきてから、

誰とも意思の疎通ができなかったのではないかと思いました。

可哀想で涙がこぼれました。

 

子供と言うものは、話したくて仕方がないものでございます。

このように周りの環境で話すことを許されず、

考えることさえも妨害されてしまいますと、

心に深い闇を抱えてしまいます。

以前、放任ということについて書かせて戴きました。

簡単にできることではありません。

本気で考えて実践しなければ非常に難しいものでございます。

ですから、子育てをするという考えを捨て、

御子様の友達になって差し上げて下さい。

 

子育てなんて考えているから、親は悩まなくてはなりませんし、

無口で、学力が低く、友達もできない人格に育ってしまうのだと思います。