マハーバーラタ
この戦争が始まる遥か以前に一人の婆羅門(バラモン−修行僧−)がクルクシェートラの村に住んでおりました。
毎日、田畑の落穂拾いをしては食を得、彼と、彼の妻と、息子と、その嫁は暮らしておりました。
毎日、午後に家族四人が座って、日に一度の食事を戴いておりました。
落穂が充分に拾えなかった日は翌日の午後まで断食をします。
落穂は余分には拾わず、必ずその日に必要な分だけを拾い、決して明日のための蓄えをしようとすることはありませんでした。
これが彼らの修行生活でございました。
ある時、大旱魃にみまわれ、国中が飢饉になった年がございました。
耕作ができませんから、種蒔きも収穫もできず、増してや拾える落穂などあるはずがありませんでした。
彼の家族は何日も飢えに苦しみました。
ある日、空腹と飢えと暑さに苦しみながら僅かばかりのとうもろこしの粒を拾うことができまして、
それを粉に挽きまして四等分して、神に感謝しつつ食事の座につきました。
ちょうどその時でございます。
一人の婆羅門(修行僧)が飢えで死にそうになりながらふらふらと入って参りました。
魂の清浄な彼らはその客人に挨拶し、一緒に食事をして下さるようにお願いしました。
「御客人を歓迎いたします。尊い婆羅門様、私達は貧しいものでございます。
このとうもろこしの粉はダルマ(法)に従って得たものでございます。
どうか召し上がって下さい。神があなたを祝福して下さいますように。」
そう申し上げてとうもろこしの粉を全部、客に与えてしまいました。
実はね、このお客人、実は神の使いでございました。
彼ら家族四人はその直後天上の楽園に招かれるんですね。