一本のメタセコイア
メタセコイアの樹は遥か太古の恐竜の時代に茂っておりました背の高い樹でございます。
奇跡的にその種が見付かり、現代にも生きた樹は存在しておりますが、
気温や気圧が当時と異なるためでしょうか、どの樹も元気良く生い茂っては下さらない。
ある街の片隅にあります小さな公園にも、一本のメタセコイアが植えられておりました。
誰も見向きもしない裸んぼの樹でございました。
ところがその樹がある時突然葉を付けて豊かに生い茂ったのです。
これは新聞でもニュースになりましたし、テレビでも大きく報道されました。
それは社会を良くする起爆剤になりました。
その樹の前で一人の老僧が一心に祈っておりましたことが分かったのです。
名も知れぬ老僧、
でもその老僧の慈悲の深さ、愛の大きさを、
誰もが一瞬のうちに理解しました。
そうして、この世界の全ての現象が神の愛であることを悟ったのです。
国中が、世界中がそのことを知りました。
そうして、地球上が思い遣りに溢れ、愛に溢れるようになったのでございます。